不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
しばらくして、私達は店の外に出た。

頬を刺すような風がビュッと吹いて、思わず首をすくめる。


「卓巳君ってさ、とりあえず彼女はいないんでしょ?」


沙耶の問いかけに、私は首を横に振った。


「わかんない……。いるかもしんない」


卓巳君の研究室で聞いた名前が頭にひっかかっている。

“和美さん”。

彼女は卓巳君にとってどんな存在なんだろう。

彼女?
それともただの女友達?

だけど、服を洗濯してアイロンがけするような仲なんだもん。

かなり親密な関係であることはまちがいなさそうだ。


沙耶は「んー」と、腕組みをして考えこんでいる。

そして、何かをひらめいたような顔で言った。


「まず彼女がいるかどうか知りたいなら、てっとり早い方法があるよ?」


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