孤独な歌姫 緩やかに沈む
「よぅ、MU……」
「お、はようございます」
すでにもうお昼の13時を回ってたけど、恐る恐る挨拶をした。
電話の主は私が暫し名前を凝視したまま。固まっていたあの佐倉さんだ。
「世田谷のレコーディングスタジオにとにかく来い。今すぐ来い」
今すぐ? シャワー浴びてない! 外に出られる出で立ちじゃない!
「ああー……!! さ、30分、待ってく……」
「あ? 聞こえなかったか? 今すぐ来いって言ってんだ」
私の言葉に被せるように、怒気を孕んだ声が私を縮み上がらせた。