レンタルな関係。

「くそ」



なんて、呟いちゃってます。



「不器用だね」


「だから黙ってろって」


「ヘタクソだね」


「うるせ」


「まだかな、まだかなー」


「……」


 
オモシロイ。

 
 
からかうって、最高。

 
流川のヤツ、私をからかって、いつもこんなに楽しい思いしてたんだ。

 
くそー。


 
ぱち…と音がしたような気がしたけれど。

 
まだ耳元で動く流川の手。



「足、疲れてきたんだけど」


「もう少しだ」


「まだふらふらするんだけど」


「待ってろって」


「できれば座りたいんですけど」


「はあ? じゃ、座れ」


 
言って。

 
ふたりでそろりそろりと低くなり。

 
ぺたんと腰を下ろすフローリング。


 
私は正座して。

 
耳を持たれてるから、ちょっと顔を突き出すような格好で。

 
流川はあぐらをかいて、ちょっと前傾姿勢。


 
か、顔が…近い。

 
まずった。



「あ、あの、まだ?」


 
突然小声になる私に。



「顔赤いぞ、お前」


 
ニンマリ流川。


 
ううう…立場逆転。


< 108 / 314 >

この作品をシェア

pagetop