レンタルな関係。
「お前の友達、変わってんな」
「美人だし、スタイルいいし、モデルみたいなんだ。口を開くとダメだけどね。やることは、もっとおもしろいよ」
パスタソースが頬に伸びた麻紀の顔が浮かぶ。
「あ、そうだ」
同時に、旅行の話も思い出した。
隣りを歩く、流川を見上げる。
カエルの足がぶらぶら揺れて、流川の太もも辺りを蹴っている。
「あのさ、」
声をかけると、流川はカエル越しに私を見おろした。
「ん?」
「温泉って、好き?」
「温泉? なんで」
「その、旅行しない?」
「………」
驚いた流川は、しばらく黙って。
それから、ニヤリと笑った。
「随分積極的だな。俺と温泉旅行がしたいのか」
「え?」
「もう俺にホレたか?」
「…あ゛?」
マズい。勘違いしてるぞ、コイツ。
聞き方…間違えた。
「ホレてないしっ」
「じゃあなんだよ、旅行って」
「麻紀が………」
懸賞で当たった温泉旅行の話を聞かせると。
うなずいて聞いていた流川は。
「ふ~ん。いいんじゃね?」
え? マジ?
「しばらく温泉になんて浸かってなかったし」
もしや…
「わりと温泉好きだしな」
「マジで…?」
予想外。
「…行く?」
「行ってやるよ」
カエルの両足をつかんで、開いたり閉じたりする流川。
や、止めなさい、それ。
意外にもあっさりOKを出した流川によって、
四人の温泉旅行が決定してしまった、のだ。