レンタルな関係。

流川の肩と格闘すること約10分。


「よし、いいだろう」


「ふぇ~~」


解放された私の腕はパンパンで。


つ…つりそう……


「60点ってところだな」


「その点数の基準はなんなわけ?」


「風呂上りに、もう一回マッサージだな」


「やりませんっ!!」


調子にのりやがって。


「もうすぐ着くぞ」


流川の声に、視線を窓の外にむければ。


大きな川にかかる大きな赤い橋。


その向こうに小さく旅館の形が見えている。


「麻紀、祐二くん、もうすぐ着くよ」


私はまだ爆睡する麻紀と祐二くんを揺り動かして、なんとか起こした。



さらに細い道を登っていくと、旅館らしきものが3~4軒立ち並んでいて。


私たちの目指す旅館はさらにそこから上に登ったところにあった。


なかなか立派な外観で、キレイなのに趣がある。

 
「さすが有名旅館」


「すごーい」


「お風呂もおっきいかな」


「ガイドで見た限りでは露天風呂もあってなかなかだったわよ」


「きゃー、楽しみー」


麻紀と私はすでに興奮状態。

 
「混浴あり? ね、ね、どうなの?」


別な意味で祐二くんも興奮気味。


「それはないわよ、このスケベじじい」


「なんだよー、つまんねーのー」


麻紀と祐二くんの漫才がまたはじまって。


私は苦笑しながら、ストッパー役をちゃんとこなしてくれたカエルを抱えて車を降りた。

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