レンタルな関係。

再び車に乗り込み、周辺の町を観光することになった私たち。

 
この辺は有名なお寺や食べ物なんかも豊富で。

 
お昼ごはんを食べたり、仏像を見て回ったり…結構楽しむことができた。



「あ~~、美味かった。早く温泉に浸かってのんびりした~い」


 
ご飯を食べたらすっかり元気になった麻紀の機嫌も直り。

 

「風呂もいいけど、麻紀と唯衣ちゃんの浴衣姿も楽しみだなぁ。ね? 流川くん」



祐二くんの発言に。

 
再び落ちる麻紀のパンチ。



「あんたはどこまでスケベなの!」


「何だよー、男の本音じゃん。ねえ、流川くん?」


「だからいちいち流川直人に同意を求めるなってーの! あんたの趣味でしょうが!」


「だってさ、麻紀の浴衣姿だって久しぶりじゃん? 俺、嬉しいわー」


「え? そ、そう?」


「麻紀は可愛いからなー」


「や~だ~。そう?」


 
後部座席の二人に呆れる私と流川は。

 

「ケンカするほど何とやら」


「似たもの同士だな、ありゃ」


「なんだかんだでバランス取れてるね」


「ああ」


 
そんな二人に感心して。



「それに今日は唯衣ちゃんもいるし。いや~楽しみ」


 
祐二くんの不必要な発言に。

 
麻紀の両手がその口元に伸びて。

 

「あででででっ!!」


 
祐二くんのほっぺたは、両側にびろんと引っ張りあげられていた。

 
 
運転する流川の横顔をちらりと見る。

 
薄っすら微笑が浮かんでいて。

 
流川も結構楽しんでるみたい。


 
(流川も浴衣姿って好きなのかな、やっぱり…)


 
そんなことを思いながら、私は近づいてきた宿を眺めて、カエルを抱きなおした。



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