レンタルな関係。
◆イヤじゃない
部屋に戻ると、何故か流川はいなくって。
カエルだけが座布団の上に座って私を待っていた。
まだお風呂?
男のくせに随分長風呂なヤツだ。
まあ、ちょっと一安心して。
山の新鮮な空気を取り入れようと窓を開ける。
ザワザワっと揺れる木々の音。
ほんのり染まった薄紫色の雲。
あああ…気持ちいい。
旅行、最高。
しばらく顔だけに風を当てていたけれど。
あまりの気持ちよさに、がっちりしめていた浴衣の胸元を緩めて、パサパサと風を入れ込んだとき。
「随分遅かったな」
背後から声がして。
「ひぃっ!」
驚いて振り向けば。
「お前、なんちゅーブラジャー着けてんだ」
流川直人っ!
みみみみ、見たなっ!
っていうか、どっから現われたっ!?
まさか、マジエスパー?!
「ちょっ…なんで見んのよっ! えっち!」
「見えたの」
「それは、見た、と同じことでしょっ」
「お前のピンク好きはわかったけど、そういう趣味もあったとはな」
「だっ、これはっ! 私の趣味じゃなくてっ」
「あ? じゃあ今晩に供えて俺の趣味に合わせたってわけか」
出たー! ニヤリ顔!
「だっ、なっ、なに今晩って! しかもあんたの趣味って!」
「悪いがそれは俺の趣味ではないな」
あ、趣味じゃないんだ…。
って、納得するとこじゃねーよ、私!
「もう! バカ! えっち! スケベ!」
「あのな…見ようと思って見たんじゃねーって。裸見られたわけじゃないんだからそこまで騒ぐな、アホ」
「アホじゃないっす!」
「ぶ。なんだ、ないっすって」
うう…
興奮で口がまわらない。