レンタルな関係。
麻紀の下敷きになった祐二くんは、
「ふがふがっ」
しばらくもがいていたけれど。
しがみつく麻紀のカラダを、ぎゅっと抱きしめて、
「俺も大好きだーっ、麻紀!」
ゴロゴロと畳の上を転がりだした。
「いでっ! いでででっ、祐二!」
「ん~、可愛いなぁ、麻紀ぃ~」
お、おまいら…アホか。
「やっぱり似たもの同士だな」
つぶやく流川。
「はあ…付き合ってらんない」
同じくつぶやく私に。
空のグラスを差し出す流川は。
「ビール」
「は?」
「カラなんだけど」
「…だから何?」
「お酌に決まってるだろ」
出たな、俺様。
「自分でやってください」
「この場が丸くおさまったのは俺のおかげだろ」
「それとお酌になんの関係があるっていうのよ」
「関係なんて関係ねーんだよ」
また意味不明なことを…
ま、しょうがないか。
流川の機転がきいたのは確かだし。
「はいはい、お酌しますよ」
まだ転げまわるふたりを横目に流川のグラスに並々とビールを注ぎ。
「ほら、お前にもついでやる。グラス出せ」
ビール瓶を私から取り上げた流川。
「あ、はい」
素直にグラスを差し出す私。
「あんまり飲むなよ。また全部戻すことになるからな」
「またって」
「寝ゲ○とかすんなよ、部屋中大変なことになるから」
「しませんって」
失礼なヤツだ。
ついでやったビールを美味そうに飲み干した流川は、山の幸てんこもりのお膳に箸をつけて、満足そうに口を動かした。