レンタルな関係。
「あのさ…」
「ん?」
「あんまり飲みすぎないでよね」
「なんだよ。心配してくれてるってわけか」
いや、オネエマンに鍛えられたあんたのことじゃなくて、私のことをね…
「あ、あんた…流川直人は酔っても平静でいられるタイプだよね? だよね? っていうか、そうだって言って」
「は?」
「おおおっ…襲ったりしないでよね」
「……」
「そそっそんなことしたらぶっ殺してやるからっ」
「お前に殺されるほど軟じゃないけど?」
意味を理解したらしい流川は、ふふん、と笑う。
「だっ、まっ、まさか襲う気じゃ…」
「さあ、どうかな」
ニヤリ。
ま、またその顔っ。
「ううう、私こっちの部屋で寝るっ」
「勝手にしろ。この状況で寝れるんだったらな」
アゴで前をしゃくった流川。
その先に、ベロベロで、目がすわっている麻紀。
「る~かわ~ もっと飲めぇ~ ひいぃっく…」
う、怖い…
「唯衣ちゃ~ん、のん兵衛の二人はほっといて一緒に寝よ~かぁ~」
麻紀に首を絞められながら、祐二くん。
「……」
「俺はあっちでゆっくり寝るから、お前はここにいろ」
「…無理」
「じゃあ、覚悟決めるんだな」
「なっ! 覚悟ってっ…」
こ、これじゃ私、どの部屋でも寝れないじゃんっ!
廊下? もうこの際、廊下で寝るか?
「言ったろ? 俺は無理強いは趣味じゃない」
「……」
「まあ、同意があれば別だけど?」
「ど…同意なんてしないもんっ」
はははっと笑った流川は。
「安心しろ。まだ冷静だ」
「ホントに?」
「これ以上酒が入ったら知らねーけど」
言いながら日本酒に口をつける。
「ああーっ、飲むな飲むな飲むなーーっ」
叫びながらその腕を引っ張る私を無視して、くいっと飲み干す。
「フフフフ…」
な、なんの笑いだ、それ。
「とにかく。襲うなんて言葉は俺の辞書には無い」
「……」
「…あったかな。ま、心配すんな」
おおおおおーーーいっ!!