レンタルな関係。

「ふぅぅ…」



ひとりで温泉につかって。


見上げる空には、信じられないくらいの星屑。



「キレイ…」



夜になって少しひんやりした風が、火照った顔を滑りぬけていく。

 

「要くん…今頃なにしてるかな」



合宿に行ってから、メールも電話もなし。


山の中だから電波が届かないかも…っては言ってたけど。


それにしてもなぁ。


私からもメールも電話もしていないから、要くんのことばかり責めるわけにはいかないんだけど。


でもなんだかちょっと遠慮しちゃって、かけ難いんだよね。



…って。


これは…たぶん、私のいいわけ。


この温泉旅行のことも、話そうと思えばきちんと話せたはず。


バレなきゃ… 何にもなきゃ…大丈夫。


そういう気持ちが、確かにどこかに巣食ってる。

 

要くんがいなきゃ、不安で仕方なかったのに。


要くんの行動にも、いちいちこっそりチェック入れてたのに。


自分がこういう立場になると、それは教えたくないなんて。



私って、ズルい。



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