レンタルな関係。
 
手のひらですくったお湯で顔を撫でると、流川にもらったピアスの感触。


 
「流川直人…か」



いきなり現れた俺様男。


散々からかわれて、命令されて、ドキドキさせられて。



それでも。


こんなプレゼントしてくれちゃったり、変質者から助けてくれたり。


たった三週間くらいのあいだで、私の生活にずんずん踏み込んできて。


振り回されてばっかりだけど、なんだかんだ言って、楽しんでる私がいる。



「レンタル関係も…あと一週間と、ちょっとか…」



ぽつり。


満点の星空を眺めながら出てきた自分の言葉に、はっとする。



「こらこらっ! 一週間とちょっとの矛先が違うぞ、私っ」



あと一週間とちょっとで、要くんに会えるんだ。


そこでしょ? 私が一番喜ばなきゃならないのは。



「要くん…」



私の、初めての彼氏。


キスもえっちも、誰かと一緒になにかをできるっていう喜びも。


教えてくれたのは、要くんなんだから。



「はぁ…」



何故か漏れるため息に。


ぶんぶんと頭をふった。


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