レンタルな関係。
怪訝な顔の流川。
そりゃそうだよな、突然こんなこと聞かれるんだもん。
でも気になるし。
きょろきょろ…部屋のなかをうかがう私。
「寝てるときとか…何かされなかった?」
「あのな、誰も来てねーって。なんだその妄想は」
「私の彼氏になって、とか言われなかった?」
「…お前、また長風呂したんだろ。風呂のなかで変な夢でも見たか」
「襲われなかった?」
「…誰にだよ」
「幽霊に」
「……は?」
「女の幽霊。イケメン好きの」
「…ちょっとこっち来い、お前」
私の腕を引っ張った流川の手が、おでこに当てられる。
私とカエルを抱えた流川は、
「突発的に熱を出すクセがあるのか、お前は」
本気で心配顔。
「違う違うっ」
慌ててカラダを引きはがす私。
「出るんだって」
「なにが」
「女の人の幽霊。イケメンのいる部屋をねらって現れるんだって」
「で?」
「だ、だからっ。ここに来るかもしれないなって」
「ふん。それはお前が俺をイケメンだと認めての発言だな」
「あ…」
「その話が本当なら、夜中、確実に出るな」
「う…」
どの言葉に反応すればいいんだ?
「そういえば…」
カエルの頭に肘をおいて、アゴに手をやる流川。
「な、なに?」
「お前が戻ってくる前…ベランダのほうからカサカサって音がしたかもな」
「え?!」
「いや…廊下からだったかな、ふすまの開く音がしたような…」
「えええ?!」
「今も…」
「ななな…なに」
「いるぞ」
「へ…?」
「ほら、お前の後ろっ!」