レンタルな関係。

「危険…」

「ああ?」

「な、なんでもない。水、飲む?」


少しでもコイツの酔いを冷まさねばっ。


「飲ませてくれるなら飲むけど?」


フフン、と笑う流川。

こ…コイツ…

 
「さっきは失敗だったしな。口の脇からこぼしたろ」

「あれはっ、あんたが寝てるからでしょっ」

「まあでも、ひざ枕は上出来だったな」

「う゛…」


思わず撫でてしまった流川の髪の感触を思い出し。

恥ずかしい…ってば。

 
じりじりじり…

カエルを抱えて、流川から遠ざかる私。

 
…おっと。

あ。布団にぶつかった。

 
こんなところに布団!

って、当たり前か。

ど、動揺するなっ、私!


「明らかに酔ってるでしょ…」

「そんなにすぐ冷めるか、この時間で」


さっきと、言ってること違くない?


「水、飲んで冷ましてよ」

「だから。飲ませてくれるなら飲むって言ってるだろ」


や、やけに絡むな…今日の流川。


「飲ませますんっ」

「…どっちだよ、それ」

「あ… せん、の方。飲ませませんっ」

「ぶ。赤くなってるぞ? 冗談だ、アホ」


冗談…かよっ。


「どれ。俺は寝る」


急に立ち上がった流川は、私の前で軽くかがんで。



…え?



えええーっ?!




「や…ちょっ…」


何の前ぶれもなく。


「よいしょ」


カエルと私を。


「重いな、お前」


ふわり。

抱き上げた。



「ちょ…ちょっと、なにすんのっ!」


なんで「寝る」って言って、この状況なわけ?

 
私…

要くんにだって、お姫さま抱っこなんてされたことがないのに。


「な、なになになにっ?!」


 足をバタつかせれば。


「落ちるぞ。おとなしくしろ」


腕のなかで暴れる私を面白そうにながめて。


「一緒に寝るか?」


ニヤリ。


口角をあげた。


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