レンタルな関係。
あ……
「るっ、流川…」
小さく叫んでしまった声に。
「ん?」
再びこちらを向いた流川の顔。
「なんだ」
「あの、なんでもないんだけど…」
呼んだのはいいけれど、私自身、何が言いたいのかわかんなくて。
布団のなかで、もじもじしていた。
流川があっちを向いてしまったら、また暗闇がせまってくるし。
話せてるだけで、気分も紛れるし。
とにかく、顔だけでもその…見ていたいっていうか…
「怖いんだろ」
ぽつり。流川。
「え?」
「幽霊。思い出したんだろ、また」
「……うん」
「いないって言ったろ」
「そうなんだけど…風が…」
「風まで怖いのか、お前は」
「……」
まったく…という感じに軽く笑った流川は。
「こっちに来い」
言って。
布団を持ち上げた。
「…え」
「来いよ」
「…なん…で」
「怖いか? 俺が」
「……」
「幽霊より」
「…どっちも…怖い」
「何にもしないから」
「……」
「来いよ」
流川の言葉を信じるとか、信じないとか。
そういうことじゃなくて。
「…うん」
真っ直ぐな言葉の響きが――
何故か私を動かした。