レンタルな関係。
 30分くらい経って。

 玄関を開ける音と、

「ただいま」

 要くんの声が同時に響いて。


 ぼんやりしたままだった私は、慌てて玄関に向かった。

 私の姿を見た要くんは、

「ただいま、唯衣」

 靴を脱ぎながら、軽く微笑んで。


「おかえり…要くん」


 私はそんな笑顔にちょっとドキドキしてしまって。

 少し焼けた要くんの顔と腕。

 目を見たり、床を見たり。

 視線が落ち着かない。

 やっぱり…

 こうして会えると、嬉しくて。


「おかえり」


 もう一度つぶやいたまま、もじもじしてしまう。


「ただいま」


 要くんも、もう一度同じことを言って。

 くしゃりと私の頭を撫でた。


「ごめんな、遅くに。寝てた? なんか目、腫れぼったいけど」


 さっきまで泣いていた目が腫れていたんだろう。

 鏡も見ていなかったから、気づかなかったけど。


「ううん、起きてた。全然大丈夫」

「そう? ならいいんだけど」


 急いで顔を背けた私は、要くんのためにコーヒーを淹れる準備をして。

 自分のカップにも、もう一度熱いコーヒーを注いだ。


 ソファに座った要くんは、

「唯衣、これ、なに?」

 不思議そうにカエルを抱えていて。


「あ、それは、麻紀にもらったの」

「麻紀ちゃんに? 随分でっかいぬいぐるみだな」

「うん、彼氏がパチンコでとってきたとか言って。誕生日プレゼントにって私にくれたの」

「あ、そうだ」

「? 何?」

「ごめん、唯衣。この前誕生日だったんだよな、20歳の」

「あ、うん」

「ホントにごめん。忘れてたわけじゃないんだよ」

「う、うん…」


 要くんは。

 持ってきた大きなバッグから、小さな包みを取り出した。




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