レンタルな関係。
「なかなかやるわね、アンタ」
ステージでのダンスが終わって。
「あ、ありが…どう…ございま、ふ」
息も絶え絶えの私。
途中から一緒になって盛り上がってしまった私の心臓はバクバク暴れていて。
アルコールも手伝って、ぐらぐらしてます…
「ナオちゃんを泣かせたら承知しないわよ」
「な、泣かせません…」
「今度はナオちゃんを連れてきなさい。アンタだけじゃなくて」
「はい、連れてきます…」
ぜぇぜぇ…
あ。
苦しさのあまり、できるどうかわからない約束をしてしまった。
「連れてこなかったら――」
「こ、こなかったら?」
「殺すわ」
「う゛…」
黒黒まつげの中のちっちゃい目が、本気で鋭い。
「そのくらいは当然よ。番号教えてあげるんだからね」
言って。
ふ、と笑ったらぶりー留美は。
「ほらこれ。ナオちゃんの番号よ」
一枚のメモ用紙を差し出した。
「あ、ありがとうございますっ」
「いちいち声が大きいのよ、アンタ」
「ホントにありがとうございますっ!」
「ナオちゃんは手ごわいわよ。アタシになびかないくらいだからね」
だから。
それは当然だと思います。。
「ま、頑張んなさい」
「はいっ」
「もう一杯飲んでってもいいわよ」
「い、いえ…結構です」
「そ。じゃ、またいらっしゃい。ただしナオちゃんと」
「は、はい」
殺されるのはイヤなので、そうしたいとは思っていますけども…
「じゃ、じゃあ私これで。ホントにありがとうございましたっ」
もう一度、ぺこり。
エレベーターの前。
振り向くと。
見送ってくれる、オネエマンたち。
最後にガンっと私の背中を押してエレベーターに詰め込んだらぶりー留美。
「ありがとうございました」
手を振ったり、投げキッスをしたり。
いろんなオネエマンに見送られながら、
私はオネエマンパラダイスをあとにした。