レンタルな関係。
 
 5分…10分…

 経ったところで。

 這いつくばるようにしてトイレへ…


 ××××××ッーーー!!

 (放送…文字化禁止)


 そのまま座り込みたい衝動にかられ…


「ダメ! トイレでなんて寝れないっ」


 またまた這いつくばるようにして戻る長椅子。


「ぐぐぐごぉ…」


 まだいるよ、おじさん…



 それから1分…2分…3分…


「く…くそ…」


 腕時計を見ながら、分刻みで立ち上がってみる私。

 けど。


「どうしてぇ…?」


 無理らしい。

 悪酔いした。

 オネエマンのせいで。

 …いや。

 完璧に自分のせいで。


 リバースのおかげでだいぶすっきりした胃の中は。

 さっきよりラクになっていて。

 なのに、足のほうがダメ。

 そのうち眠気まで襲ってきた。



 3分…7分…


 無常にも過ぎていく時間。


「…泣きたくなってきた」


 電車が行っちゃうかもしれない切羽詰った感と、

 足がしっかりしない恐怖感と、

 乗れてもどうなるか…もしかしたらもっと酔ってしまうんじゃないかみたいな心配と。


「ぐううう…」

「……」


 こんなところにサラリーマンと二人。

 取り残されたような悲壮感に包まれてしまって。

 本気でツン…とする鼻の奥。


「ううう…」


 ティッシュを取り出そうとバッグに手を入れて引き出したとき。

 ひらひら…と。

 オネエマンにもらった流川の番号が、空を舞った。





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