レンタルな関係。

 沈黙に。

 負けそう…


「ダメなら…」


 …いいよ。

 そう言いかけたとき。


「ふう…」


 電話の向こうで、流川のため息。


「しょーがねーな」


 え?


「行ってやるよ」


 ええ?


「ホントに?!」


 びっくりして聞けば。


「何びっくりしてんだよ、自分で言っておいて」

「あ、ま、そう…だけど」

「確かに、もう一日残ってるわな」

「う、うん」


 無理やりだけど。


「かなり強引だけどな」


 はい。そうかもしれません。


「オネエマンの駅だよな」

「うん」

「30… いや、15分、待ってろ」

「15分?」


 早過ぎないか?


「駅のどの辺だよ」

「あ、えっと、長椅子のあるとこ」

「長椅子? んなのあったか?」

「うん。構内の端っこのほうに」

「ふん。じゃ」

「あ、え?」



 プチ。


 ――ツーッ―ツーッー…


「……」


 早っ。

 切るの、早っ。


 切れた携帯をみつめて。

 
「ぐぐ… がっ! …ぐぅ」

「……」


 眠り込んだサラリーマンとふたり。

 一層寂しくなってきたこの場所で、

 私は、

 ホントに流川が来るのか、

 なんだか不安だった。


 不安というか。

 不思議な感じで。



 とりあえず、

 待った。




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