レンタルな関係。
 
 伸びのあと。

 流川はぼんやり前を見て。


「腹へったな」


 ぽつり。

 ひとりごとみたいにつぶやいて。


 …なんだよ。

 可愛いな。



 そんな横顔。

 口元の、傷。


 あ~あ。

 ホントに残っちゃったらどうしよう。

 オネエマンの言うとおり、こうしてまじまじと眺める流川の横顔は整っていて。

 悔しいがカッコよくて。


 噴水の作る虹が、光が、反射して。

 ホントに、キレイで。

 
 ……不安。


 っていうか。


「ムカつく」

「ああ?」

「…なんでもない」


 怪訝そうに。

 私を見おろすその顔。


 …あや?

 少々、むくんでるな。


「流川」

「ん?」

「顔。今日、変」

「…なんだよ、変、って」

「ちょっとむくんでる」

「そうか?」


 片手で頬をさすった流川は、またあくびをして。


「眠いの? さっきからあくびばっかり」


 聞くと。


「少しな」


 ぽりぽり…背中をかいて。


 そういえば昨日。

 私は爆睡したみたいだけど。

 流川は、ちゃんと寝たのかな?


 ………。


 あ、あの格好で寝てた私の隣りで…

 寝たんだよな…

 記憶にないけど。

 
 う…

 なにもなかったとは言え…

 イタズラしなかっただろうな、コイツ。

 私が爆睡してるのをいいことに。



 
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