レンタルな関係。

「爆睡しやがって」

「…だって。かなり疲れてたし」

「いきなり脱ぎだしやがって」

「…お、憶えてないし」

「布団かけてやろうとしたら…」

「?」

「抱きついてきやがって」

「………」


 …え?


「だ…?」

「カエル、とか言ってよ」

「か…?」

「俺はカエルじゃねーっつうの」


 だ、だ、だき…抱きついた?

 私が?

 流川に?


「う…ウソ…」


 あの格好で?

 マジで?


「ふ…不覚…」


 なにやってんだ、私っ!

 恥ずかしいっっ。

 しかもカエルって。

 流川をカエルって。

 間違えるにも…程がある。


「なにが不覚だ。おかげでこっちは…」


 言いかけた流川は。

 はっとしたように。


「ふん」


 私から顔をそむけて。


「??」


 ん?

 なんだこれ?


「流川?」


 水しぶきで光る髪。

 その下の耳。


「赤いよ?」


 ほんのり色づいてて。


「うるせーな」


 いや、赤いよって言っただけですけど?


 唇をとがらせた流川の顔は。

 ありゃ?

 ありゃりゃ?


「ほっぺも赤くなってきたけど…大丈夫? 熱あるんじゃない?」


 珍しいな、流川の赤い顔。


「暑いだけだ。気にすんな」


 つっけんどんに返ってくる言葉。

 
「……」

「……」


 もしかして…

 
 え?

 もしかして?

 この態度…





< 265 / 314 >

この作品をシェア

pagetop