レンタルな関係。

「すごく赤いんだけど」

「暑いんだって言ってるだろ」

「ここ、結構涼しいじゃん」

「涼しくねーし」

「照れてるからじゃないの」

「お前なんかに照れるか、アホ」


 口、減らないなぁ。


「髪、横のほう立ってるよ?」

「お前もはねてるぞ、後ろ」

「服、シワシワだよ?」

「お前の服もヨレヨレだ」


 くそ。


「よだれ、ついてる」

「…ウソだろ、それ」

「ホントだよ」

「は? どこに?」


 慌てて顔をぬぐう流川。


「顔じゃなくて」

「あ?」

「肩」

「肩?」

「肩に、昨日のおんぶの痕。私のよだれ」

「あ゛あ゛?」


 驚いて、Tシャツの裾を引っ張って。


「どこにっ…」

「…ウソだよ」

「…は?」

「やーい、引っかかった」

「……」


 どうだ。

 今日は私の勝ちだ。

 ふふん。


「お前なぁ」

「ふふふふん」

「俺をからかうと、」


 来た来た。

 前にもあったよね? こんなこと。

 あの時は。

 未遂、だったけど。


「からかうと?」


 言うんでしょ?

 っていうか…

 言って。


「無理やり黙らすぞ。それ以上からかうと」


 その先だってば。


「キスするぞ」


 ほらね。

 意外と、ワンパターン。





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