レンタルな関係。

 クラゲみたいな私に。
 
 軽く、頬にキスをした流川は。


「行くぞ」


 立ち上がり。


「ほら」


 ぼんやりする私に手を差し出して。


「立て」


 何事もなかったように、太陽を背負って。


 
 その手を取り、ゆっくり立ち上がった私。

 膝が、かくんと折れてしまって。

 慌てて体勢を整える。


 そんな私を面白そうに眺めた流川は、

 つないだ手にチカラを込めて、歩き出す。

 

「それにしても、腹へったな」


 思い出したようにつぶやく流川に。


「…部屋、来る?」


 思わず出たセリフ。


「部屋?」

「うん。私の部屋。ほ、ほら、カエルもいるし」


 やばやばっ。

 これじゃ私が誘ってるみたいじゃんっ。

 って。

 誘ってんだけど…


 振り向いて私を見おろす流川は。

 しばらく黙って考えてる様子。


 でも。


「いや。行かない」


 …え゛?


「この辺で食ってく」


 …え゛え゛?

 
 なんか…

 これじゃ、


 私が恥ずかしいヤツじゃないの…






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