レンタルな関係。
 
 だからみんなも…

 
 頑張ってほしい。


 ――そう、思う。




「行くぞ」

「うん」


 ポケットに手を入れたまま歩きだす流川のあと。


「流川」

「ん?」


 隣りに追いついて。


「腕、組んでみてもいい?」

「あ?」


 聞いてみる。


「足ひっぱんないから」


 これから先。

 私と流川。


「ちゃんと歩くから」


 このレンタル関係が終わって。

 その先が、どうなるかなんてわからないけれど。


「いい?」


 自分の気持ちに正直に。


「勝手にしろ」


 ひとつひとつ何かを積み上げていって。

 
 ゆっくりと。


 新しい関係を築いていけばいいや、そう思う。




「ねぇ、流川」

「ん?」

「流川、流川。流れる川に、真っ直ぐな人で、流川直人っ」

「なんなんだよ」

「明日からも、ヨロシクね」

「ああ」




 腕を回して。

 見上げた顔。


 背伸びじゃ足りなくて。

 ジャンプして。

 
 唇が届いたのは、流川のアゴ。



 目を丸くして。

 驚くその顔に。


 どうだ、と笑ってみせても。




 ――ちゅ。




 宣言やぶり。

 まだ、カサカサなのに。

 速攻で降りてきた唇につかまって。

 

 
 ふふん、と笑うその顔に。



 
 私は今、


 
 満たされている。







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