レンタルな関係。
そんな風にして気になっていたオンナが、
いきなり目の前に現れたのが、あの、夏休みの初日だ。
要の、彼女として。
一体この状況はなんだ、と、
ベッドに運んだコイツを眺めながら思考を巡らせるしかなかった。
…人のモノだったのか。
いや、モノって言い方もねーだろうが、別の男のオンナだったのか。
次第に冷静になってきた頭に浮かんだのは、そんな情けねぇ感情で。
まあ気になっていた、というだけの話だ。
あの、カエルみてぇな格好が。
コイツのことは部屋の付属品とでも思っておけばいい。
一ヶ月とは言え、この先、一緒の部屋で生活をしていくのであれば、
ヘタに好かれるよりもむしろ、嫌われ役を演じたほうがラクだろう。
気絶するくらい男に免疫のないコイツのことだ。
わざと嫌がるようなことをやったりやらせたりすれば、俺になつくようなこともねぇだろ。
気が付いて声を上げそうになったその口をふさぎながら、
そんなことを思っていた。