レンタルな関係。
 
な、なんという噂。

 
なんたる悪評。

 
いいところ、何にも噂されてないじゃん。


 
そういえば昨日の夜も…

 
バイトなんて言って出ていったけど。

 
変な店に行くために出ていったってこと、か?

 
 
噂話を信じれば…その可能性が高いわけで。

 
や、やっぱり、あの男をそばに置いておくのは、危険すぎるっ。



「ど、どうしよう、麻紀」


「早いとこ、追い出しちゃいなさいよ」


「でもでもっ! レンタル済みだって…」


「しかし要くんも要くんよね。彼女のいる部屋を他人に貸しちゃうんだからさ」


 
その通りだ。

 
要くんのバカーーっ。

 
でも!

 
好きだから憎めないけどっ。



「とにかく今夜、ちゃんと話をつけるべきよ」


「う……できるかな」


 
あの図々しさぶり。

 
横暴な態度。

 
できるか? 私に? 



「ま、麻紀も一緒に来てくれない?」


 
半分涙目で訴えれば。



「あたし今日ダメ。彼と夜景を見に行って、そのあとは新しいラブホに潜入する予定なんだ」


 
あ、そうですか。

 
やっぱり鬼! 私の親友!



「どうしても無理っぽかったらさ、電話ちょうだいよ。彼と二人で駆けつけるから」


「ホント?」


「当たり前でしょ。あんたが困ってるんなら」


 
う~ん…鬼なのか、仏なのか、分からない、この人。

 

「じゃ、そうするからさ、お願いね、麻紀」


「まかせてちょうだいよ」


 
麻紀は再びパスタにフォークを突き刺して。

 
なんだか満足そうに食事を再開した。



「流川直人…ソープ……夜の帝王…」


 
どんどん膨れ上がっていく流川の悪いイメージにとりつかれたように。

 
私はぼんやりしたまま、ひたすらフォークでパスタをかき混ぜた。

 
 
パスタはスープの中でぐんなりしちゃって…

 
もはや原型を留めていなかった。


 
泣。


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