レンタルな関係。
「そんなに怒鳴るなよ、うるせーな」
「うるせーな、じゃなーーいっ」
私は立ち上がって、叫んだ。
握り締めたこぶしがぷるぷる震えてますっ。
怒りで震えるって、初めて経験しました。
コイツのせいでっ。
「き、昨日の夜、どこに行ってたの?!」
「はあ?」
「バイトとか行って、変な店とか、女の子のとことか行ってたんでしょ?!」
「普通にバイトだけど?」
「う、嘘ばっかり! 絶対女だ!」
…ちょっとこれ、恋人同士の口論みたいじゃないですか?
別にあんたがどこでなにしようと構わないんですけど!
こんなこと、私に言わせるなって!
「なにお前、会ったばかりの男に妬いてんの?」
カラダを起こして、膝の上で手を組む流川。
にやりと笑う口元が、もう、たらしにしか見えませんっ。
「妬くわけないでしょ?!」
「じゃあ、なに興奮してんの?」
「あ、あんたみたいな人とは暮らせない」
「ああ?」
「あんたみたいな嘘つきと女ったらしとは一緒に暮らせないって言ってんの!」
私のあまりの剣幕に、上がっていた流川の口角もやや下がり気味になって。
しばらく私の顔をまじまじと見ていた流川は、黒髪を指ですきながらため息をついた。
「そんなに下着洗われたのがいやなのか?」
「違くてっ、いや、違くないけどイヤだけどっ。問題はそこじゃなくて、そ」
「わかったよ」
私の言葉を遮った流川は、すっと立ち上がった。