レンタルな関係。
私に振り返ったのは。
全然。
まったく全然。
見知らぬ男の人で。
口を開け閉めしながら固まっている私を見て、
「あ、帰ってきた」
なんて言って。
だだだだ、誰?!
なに、この人?!
っていうか、なんでこの部屋でお風呂になんて入ってるの?!
いや、そうじゃなくてっ。
とにかくこの状況は、何?!
私はただただびっくりして、
目の前の男を凝視したまま、動けずに。
「随分遅かったじゃん」
遅かったじゃん?
って!!
あんた一体、何者?!
いろいろ思うのに、声が出ない。
と、とりあえず、深呼吸深呼吸。
お、おちつけ…
おちつけ、私っ。
「だだだだ、誰? なんで? なに?」
やっと出た言葉はそんなもの。
それでも。
ほぼ裸に近いカラダを…まじまじと見てしまった私。
きゅっと引き締まったお腹に、濡れた短かめの黒髪。
太ももも腕も、しっかり筋肉がついていて。
背が、要くんよりも高い。
180センチはありそう…
…って!
そんなところを冷静に見ている場合じゃないってば!
///////…
青ざめたり、赤面したり。
目の前の男にどうしたらいいのかわからない私に。
「もしかして… 要の彼女、か?」
「へ?」
黒髪をかきあげながら、そいつは言った。