レンタルな関係。
引きずられながら歩いて。
電車に乗って。
っていうか、押し込められて。
しかもっ。
これ、最終電車ですけどっ。
「ど、どこに連れていくんだっ、流川直人!」
「あの時のヤツのとこって言ったろ」
「嫌だ! 行かない! 私が行ったって意味ないじゃんっ。別にアンタの女関係なんてどうだっていいんだってばっ、流川直人っ」
「いちいち、フルネームで呼ぶな、バカ」
私達のやりとりを乗客全員、注目してます。
最終電車だから、人がまばらで良かった…
って、そうじゃなーいっ!
「どこまで行くの?!」
「着いてくれば分かる」
「当たり前じゃんそれ」
「紹介してやるよ」
流川直人…
アンタの女に私を紹介してどーすんのよ。
「よし。着いた。降りるぞ」
「んーんーんーっ!」
がっちりつかまれた腕を振り回して、抵抗しながら降りる電車。
あっけに取られて注目する乗客。
ごめんなさい。うるさくて。
すべてコイツのせいですからっ。
心で叫んでみても。
ゆっくり遠ざかる最終電車。
ああ無情……