秘密警察は、ヤンキー少女と天然超能力者の上でドSに微笑むの知っているか?
「何この子?!見た目とギャップありすぎじゃない?!」
「え、何って……茉莉ちゃん。」
「そう言う事じゃないよ!」
庵に天然か!沙悟浄は突っ込む。
「……あぁっ!もう!帰る!ほっぺ痛いじゃん!キヨタカ君にも叩かれたことないのに!」
プイッと拗ねたように頬を膨らませて、歩き始める沙悟浄を止めたのは鈴白さんだった。
「帰すか。」
「もぉー、駒ちゃーん、こいつの相手してやってー。」
「……ああ。」
どこから現れたのか、暗闇の中からスキンヘッドの屈強そうな男が現れる。
「風よ……。道を阻め。」
男がそう言った瞬間、驚くべき事に、爆風が俺達を襲った。
砂埃が舞い、目を開くことが出来ない。
「何だよ、この風!」
窓もない空間からどうやって風が吹くんだよ。
それに、まるであの男が風を操ってるみたいだし。
砂埃が目に入らないように俺は腕で目を半分覆う。
少しの隙間から見えたのは、砂埃をもろともしないで沙悟浄の方へ向かって歩く庵だった。
「ちっ……庵、追うな!」
「鈴白さん。」
鈴白さんの牽制も聞こえないように庵はどんどんと進む。
「やめろ、行くな、庵。武器をもっていたら死ぬぞ。朱夏に会えなくなってもいいのか。」
その言葉で庵は足をぴたっと止めた。
その隙に沙悟浄達は……消えていた。
風も止んで、微妙な空気が流れていた。
「……なんなんだよ、今の風とか、さっきの沙悟浄とか……!」
「アサユキだ。」
また“アサユキ”だ。
さっきも沙悟浄が言っていた。
「人の言うところの超能力だよ。」
「超能力……?」
「茉莉ちゃん、取り敢えず帰ろうか。ここで話したいなら別だけど。」
周りを見渡せば……ああ、そうか、ここ、ヤクザの組だった。
「いや、それはちょっと嫌だわ。」
そうして俺たちは来た道を戻る。
超能力……なんて、ふざけたもんが信じられるか……!ってふつーはなるけどさ、
何故か俺、しっくり来たんだよ。
それは沙悟浄やあの“駒”って呼ばれてた人を見たからかもしれないけどさ。