秘密警察は、ヤンキー少女と天然超能力者の上でドSに微笑むの知っているか?
「っーーーー……かぐらちゃんって呼ぶんじゃねーっ!!」
部屋から投げ出されたのは
ピンク色の洋裁バサミだった。
それは左耳すれすれに俺の横を通過して、後ろの遙がナイスキャッチ。
かぐらちゃんは今日も女子力満載だ。
部屋中にいるカラフルヘアーin海坂の横を通り抜け、
一番奥の、作業台と思われる場所に座っているかぐらちゃんの傍へ。
そして俺もその作業台に座り込んだ。
「かぐらちゃん、今日も照れ具合が可愛いね。
俺、前の喧嘩の時さ、かぐらちゃんにお願いしたシュシュ、どう?」
俺の言葉にチッとかぐらちゃんは舌打ちをした。
~回想~
「うぉーーーっ!!」
ドガッ
バキッ
ヤンキー達の声が響く倉庫街。
海坂か西門か。
関東ナンバーワンを決める戦いだ。
「望月っ、お前その髪、うっとーしくねーのかよっ!」
蹴りを決めながら、かぐらちゃんが言った。
「んー、戦う時は邪魔だなー。」
「シュシュとかで縛っとけよ!それくらい持ってんだろ!」
「持ってない!かぐらちゃん作ってよ!」
「は?!嫌に決まってんだろうが!ばーかばーか!」
~回想終わり~
「かぐらちゃんっ、俺、楽しみにしてたんだぞっ!」
ずいっと顔を近づけると、その分かぐらちゃんは顔を遠ざける。
更に近づけると、更に遠ざかる。
あれ……これ、もうちょっと近づけたら、かぐらちゃん倒れるんじゃね……?
そう思ってもう一息、近づけて……
案の定、かぐらちゃんは机の上にバランスを崩して
「あれ、俺、変態?」
「うん、茉莉、痴女になってるから離れな……?」
体勢を直した、かぐらちゃんは真っ赤だった。
そして……
「~~~っ、多く作りすぎたからっ、やるよ!!」
ポケットから出てきたのは、
ベビーピンクの布にレース、ラインストーンが散りばめられたシュシュ。
思いっきり“M.M”って刺繍されてるじゃん。
作りすぎた訳じゃないじゃん!
「さんきゅーな!毎日付けるよ!」
「別にお前の為に作ったとかじゃねーぞ!」
「おうおう。」
そんな事言っちゃって、なぁ?
「そんな目で見るんじゃねえ!!」
てな具合で可愛いかぐらちゃん。
「かぐらちゃん、まじ可愛いなー。」
「“男”に可愛いとか言うんじゃねーよ!」
そうやって、憎まれ口をたたくのも、かぐらちゃんは愛情の裏返しなんだよな。
本当さぁ……
「……癒されるわ。」
「話を聞け!!」
裁縫や料理を得意とする、女子力の塊、かぐらちゃん。
身長は180cmを優に超える、金髪にジャラジャラピアスの、強面ヤンキーだったりする。
勿論性別は、男です。