個人的事情につき“お触り”厳禁
…誰のものだ
それはまだ。
彼と私が今のような関係になる前。
「藍川って、髪キレイだな」
仕事中は仕事以外の話は一切しない彼…遠藤課長が私にくれた誉め言葉は。
仕事とは全く関係のないものだった。
…が、しかし。
単純な私は、誉められたことが嬉しくて。
以後、髪の手入れだけは怠っていない。
例え仕事を忘れても、だ。
「とりあえず…これでよし、かな?」
“自分達が使ったら自分達で掃除する。物を出したら片付ける、と同じだ”と。
課長が言ったのが始まり。
清掃スタッフがビル内をまわっているにも関わらず。
ウチの課だけは自分達がいるフロアー、使った会議室、来客スペースなど。
自分達で使う場所は当番制で掃除をしている。
しかも。
この当番には課長自らも含まれているから誰も文句は言えず。
掃除後にチェックに来る課長をやり過ごすためだけに必死で掃除をしているだけなのだ。
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