個人的事情につき“お触り”厳禁
腰が抜けそうな囁きの後も、課長は髪を梳き続ける。
後頭部辺りを撫でたり、毛先を弄ぶように指先にクルクル巻きつけてみたり。
それはまるでテレ隠しのようで。
私の方が恥ずかしくなってくる。
「…お前の髪、キレイだな」
優しく触れながら、いつかと同じように課長は誉めてくれた。
…あぁ、やっぱり。
中村くんに言われた“キレイ”と、課長に言われる“キレイ”は根本的に違う。
課長に言われると“もっと言われたい”って。
“もっとキレイになりたい”って思うんだ。
…もう、課長以外に触らせませんから。
だから。
たまにでいいんで、こうして髪を撫でてくださいね…?