あなたのために。-光と影-
1話 黒百合
人で華やぐとある繁華街。
昼間はランチをしに来る会社員や買い物に来る主婦達で賑わい、夕方になれば学校帰りの小学生や遊んで帰る女子高生、外食をする家族連れなどで賑わう。
そんな明るい繁華街も夜になれば一変する。
居酒屋で酔い潰れた会社員、
露出度の多い女、
路地裏で盛んに営むカップル、
そして1人でいる女をナンパして捕まえる男達。
夜のここは別世界。
そんな夜の街を私は黒いハイヒールの音を鳴らして歩く。
黒のブラウスのワンピースは胸元を少し開け、腰に赤いベルトを身につけ歩く。
皆、私を見ては足を止める。
賑やかな繁華街に私のヒールの音だけが響いているよう。
周りの視線を気にせずに歩き続ける。
皆が私に興味はあっても、私は皆に興味ないから。
お金を払ってくれるのなら話しは別だけど。
私を嫌悪な顔で見てくる女、
少し頬を染めて見てくる男または女。
私を見る顔は、人それぞれ違う。
当然、私にはどうでもいいことだけど。
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