あなたのために。-光と影-
『ほら。小夜、日向、こっちにいらっしゃい』
『待って、待ってお母さん、小夜姉ちゃん』
『日向おそい!ほら早く!』
久しぶりに幸せな夢を見た。
お母さんに呼ばれて、お母さんの手を握る私。
日向は歩くのが遅くて涙目でついてくる。
私はお母さんの手を離して、日向に駆け寄り日向の手を握る。
そして日向と手を繋いで、またお母さんの手を握った。
お母さんと買い物に行った時はいつもこうだった。
日向が遅くて、いつも姉である私が日向の手を引いていた。
幸せだった、あの頃はすごく。
この後に待ち受けていることなんて、考えもつかなかった。