あなたのために。-光と影-
「ぐぁっ!なんで…ここに…!?」
「…来るの早す……ぐっ!?」
革靴のいい音が聞こえる。
男達が次々とやられ、骨が折れる音が聞こえる。
「…な、なんで…!?
まだここの居場所、公表してないのに……」
「…小夜の首にGPSがついたネックレスを付けておいた。
こいつを攫った時点で勝負はついてんだよ」
耳に残るこの声。
よりによって復讐相手がやってきた。
私が眠ってる間にこのネックレスつけたの?
そこまでして私のことを監視しておきたいわけ?
虚ろな目に映ったのは、奴一人に族が一つ潰されている光景。
女である真姫にも容赦せずに、拳を振るう。
「…蓮条………楓…」
初めて奴の名前を呼んだと思う。
奴は私の体を優しく起こし、顔の傷を指でなぞる。
なんで助けに来たの。
なんでこいつに助けられなきゃいけないの。