あなたのために。-光と影-
5話 涙
『さぁ、小夜。僕のところにおいで』
…な、なんであなたが…
どうしてあなたが私の前に立っているの…?
体の震えが止まらない。
体はしっかりと恐怖を覚えている。
こっちに来ないで。
私に触らないで。
『どうして君は僕のものなのに、僕を拒絶する?』
私はあなたのものじゃない。
私は今も昔もずっと、誰のものでもない。
私は日向(あの子)のために生きているの。
『君は今も昔もずっと僕のもの。
だから君に拒否権なんてもの、存在しないんだよ?』
いや、やめて。
白く気持ち悪い手で、私の体を触らないで…!
私の拒絶とは裏腹に、体が熱くなる。
痛い、揺れる体が痛い。
どうして今さらこの光景が出てくるの…!?
でも思い出したくない。
熱い、熱い、熱い、熱い…!
痛い、痛い、痛い、痛い…!
誰かこいつを消して……!!