あなたのために。-光と影-
さっきの失態から反対できなかった私は、着ていたタンクトップを脱ぐ。
そして私は渡された温かいタオルで前を拭き、奴に背中を拭いてもらった。
前を拭いていると目に入ったのは、黒百合のネックレス。
ここのどこにGPSが入っているのか疑問だけど、これのおかげで私は助けられた。
あと少しで大切な人を残して死ぬところだった。
「…もう少し早く来ていたら、小夜がこんな怪我をすることはなかった」
遅くなって悪かった。
背中を拭く手が止まったと思ったら、背後から弱々しい声が聞こえた。
なんであなたが謝るの?
あなたに謝られると、寒気がするんだけど。
「…この怪我は私があいつらを挑発したから出来たもので、あなたのせいじゃないから。
それにあなたには救われたから、詫びなんていらな…っ!?」
包帯が巻かれた右腕を見ながら言うと、優しく後ろから抱き締められた。
私の右側に圧がかからないように、左腕で抱き締められる。
気を遣いすぎ。
私はそんなに柔じゃないわよ。
仕方ないからしばらくこのままでいさせてやろうかと思ったのに。
「…煽るようなこと言うなよ。
怪我してるの忘れて襲いたくなる」
「あなたはよっぽど殴られたいみたいね…?」
私の言葉のどこに煽るような言葉があった?
今すぐ奴を殴りたい衝動に駆られながら、お腹に回る奴の腕を引き剥がす。