あなたのために。-光と影-
契約条件
「…さ、小夜しゃ…さん。
無事に目が覚めて良かったです」
「さ、小夜ちゃんひ、しゃしぶりだねー」
部屋のソファに正座をする二人は顔が腫れていて、話しづらそう。
肝心の奴は。
「小夜、口開けろ」
白兎さんが作ってきた軽食を私の口に運んでいる。
利き腕が痛むから食べさせてくれているけど、ぶっちゃけスプーンは左手でも使える。
でも嫌がったら白兎さんと陽くんが更に殴られたから、仕方なく奴の要求を呑んだ。
奴の表情は相変わらず無表情だけど、散々白兎さんと陽くんを殴ってスッキリしたのか、晴れ晴れした顔つきに見えるのは私だけだろうか。
ゴホン
話題を切り替えるように白兎さんが咳払いを一つした。
その咳払いにつられるように、私は二人の方を見た。
「…楓から事情は聞いています。
改めて。楓の側近、片桐 白兎です。
あなたは楓の大切なお方、私のことは年上であろうと呼び捨てで構いません」
「…………」
「俺は三船 陽太郎!名前長いから、陽って呼ばれてるよ!だから小夜ちゃんも陽って呼んで!
これから末長くよろしくね?」
「…あなた、この二人になんて言ったの?」
白米を口に入れられ、噛みながら奴を睨む。
一瞬喧嘩腰の目で睨まれたけど、奴はすぐにフッと笑う。
「…そんなの決まってるだろ。
俺の妻になる女だと言った」