あなたのために。-光と影-
するとまた風間さんは私の言葉に驚いた。
「若奥…小夜さん白兎や陽から聞いてないんですか!?
若が小夜さんのことが好きだということは、組中が知ってる有名な話ですよ!」
どうやら私は知らぬ間に蓮条組で有名人になっていたらしい。
何も言わない私を風間さんはミラー越しにチラッと見て、また前を見た。
「小夜さんを見つけてからというもの、若の口癖がずっと『俺の隣に並ぶ女は黒百合だけだ』や『俺の黒百合に手出した奴は殺す』でしたよ。
小夜さんのことを話す若は、そりゃあもう幸せそうな顔してましたよ」
どうして奴は素直にこんなこと話してるんだ。
私の前でも普通に『愛してる』とか言ってくるし。
そのせいで、
「…小夜さん、車の中暑いですか?」
「…暑くないです」
「エアコンいれますよ?」
「…大丈夫です。暑くないので」
「いやでも……
顔赤いですよ?」
奴のせいで全身が熱くなってしまう。
何なの、この熱さは。