あなたのために。-光と影-
しばらくして到着したのは全体的に古びた校舎の高校。
塀には所々にスプレーで落書きがしてある。
ここの高校は不良高生が通うことで有名な学校で、そのほとんどの生徒がヤンキーやら族やらに分類される者たちで出来ているらしい。
そんな高校の正門に車を停めると風間さんはすぐに運転席から降りて、私のいる方の車のドアを開けた。
黒のピンヒールを鳴らして地に足をつけると、丁度下校中なのかそれともサボりなのか正門を出る生徒たちの視線がこっちに向く。
「あれって黒百合じゃね?No.1キャバ嬢の」
「うわ、やっぱちょー美人じゃん」
「黒百合さんオレと遊びませんか~?なんつってな」
下品な笑い声が耳に障る。
二度と私に声かけられないように今すぐにその口を縫い付けてやりたい。
でもその必要はないらしく、連中は風間さんを見るなり顔を真っ青にして黙って帰っていった。
族にいる連中だったのか蓮条組の重鎮である風間さんのことを知ってるようだった。
風間さんってすごい人なんだ。
もしかして奴はこうなると分かって、周りを黙らせるために風間さんを指名したとか?
「風間さん、私は裏門に行ってきます」
「はい。では車も移動させます」
心の中で風間さんの存在に感謝しつつも、奴はそんな優しい奴ではないと自分に言い聞かせながら私は学校の正門を通って裏門へと向かった。