あなたのために。-光と影-
環との再会をお互いに抱き締め合いながら噛み締めていると、裏門に一台の車が停まりそこから風間さんが降りてきた。
「小夜さん、ご友人と再会はできましたか?」
風間さんを見た環は勢いよく私から体を離し、力強く私の両肩を掴んだ。
「小夜!あんたなんで蓮条組の重鎮と一緒にいるんだよ…!」
環は怒ってる口調だけど、その眉をハの字にする表情は私を心配してくれているようだった。
風間さんも環を見た瞬間に、眉間にシワを寄せた。
「…てめぇのその赤髪。"疾風"の紅蓮総長・神田環か。
そのお方に気安く触るんじゃねぇ」
私に対する態度とは打って変わり、環に対する風間さんの声は低く思わず身震いしてしまいそうなほどに怖い。
環は私を自分の背に隠すようにして前に出た。
「まさかあんたら小夜に何かしてんじゃないの…!?」
「てめぇこそ小夜さんを利用してんじゃねぇだろうな」
風間さんがスーツの胸ポケットに手を入れた。
もしかして銃とか取り出そうとしてる…?
こんなところで発砲事件なんて言ったら、蓮条組の重鎮である風間さんでさえ奴に白兎のようにサンドバッグにされてしまう。
環も"疾風"の名前があるように疾風のごとく相手を沈め、疾風のごとく駆け抜ける人だから、いくら相手が男性の風間さんとはいえそれなりの力で立ち向かうだろう。
気付けば私は環のさらに前に出ていた。