あなたのために。-光と影-
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは環だった。
「…まぁ、あんたが仕方なく蓮条楓の妻になったのは分かった。
で、これからどうすんの?
あんたのことが極道や族に知れ渡ればあんたの血縁関係がすぐにばれ、あんた欲しさや殺すためにあの子が狙われるかもしれないんだよ」
環の言う"あの子"は私の唯一無二の存在・日向のことを言ってるのはすぐに分かった。
環の言ったことは既に頭の片隅に予測していた。
私が蓮条組の若頭である奴の妻となれば当然、周りの族や奴と同じような極道に狙われる。
それは私欲しさかそれとも私を殺すためか、どちらかは分からない。
それでも一つ確かなのは、私を誘き出すために日向が人質になるかもしれないということ。
日向が狙われるのだけは絶対に避けたい。
あの子にもしものことがあれば、私は耐えられない。
日向に危害を加えた輩を殺すことだって躊躇わない。
日向には静かに暮らしていてほしい。
でも日向の身が危険にさらされるようになってしまったのは、紛れもなく復讐を失敗した私のせい。
だから私は責任を背負って、日向に謝らないといけない。
決意を固めて私は風間さんの方を向いた。
「風間さん、もう一つ行きたい場所があります」
日向、私がしてきたことを伝えたらなんて思う?
どう思っても私は構わないよ。
でもどうか、お願いだから…
私を嫌いにならないで。