あなたのために。-光と影-
「そんなことより日向の方はどうなの?
具合は落ち着いてるの?」
話を変えようとわざとらしく日向の手を握って、私と同じ色の黒い瞳を見つめた。
話をそらしたことに日向の表情は一瞬曇ったけど、すぐに私の質問に答えてくれた。
「調子は最近すごくいいの。
看護師さんと一緒に屋上に行ったりしてるよ。
あ、環もよく庭園とかに連れていってくれるの」
「まぁ、大忙しのNo.1キャバ嬢さんとは違って、あたしは基本暇だからね」
日向に頻回に会いに来てるらしい環を睨めば、私を見下すように見て余裕な笑みを浮かべたから、日向に見えないようにピンヒールで環の足を思いっきり踏みつけた。
それにはさすがの環も悶えていた。
そんな環を勝利した気分で見ていると、「あとね…」と日向が話を続けた。
「…冬樹兄さんも来てない」