あなたのために。-光と影-
「…何かする訳じゃねぇ。
ただ妻となるお前の家族を守る、そう言っただけだ」
なんで……
日向は私のたった一人の大切な家族。
それなのにどうして愛してもない夫に守られなければいけないの?
しばらく何も言わないでいると、奴は開けっぱなしの部屋の出入り口から入ってきた人物に目を向けた。
「…あぁ、あとこいつの族も蓮条組の傘下に入れることにした」
恐る恐る奴の見る方へと顔を向けると、そこには風間さんと風間さんによって両腕を後ろで拘束されている環がいた。
「誰があんたの傘下に入るか……!」
「いいのか?お前が選択を誤れば仲間の命がなくなるぞ」
「……っ!てめぇ…!」
奴の脅しに環は何も言えなくなってしまった。
仲間を誰よりも大切にする環についても既に調査済みだったことが、奴の言葉で分かった。
どうして……
どうして私の大切な人たちを巻き込んでいくの?
壊さないでよ。
私の唯一の光と居場所を壊すな。
壊されるくらいなら、こっちから壊してやる。
お前も……全て。