あなたのために。-光と影-




でもそれは叶うわけなくて。




「あ゛ぁぁぁぁ……っ!」


「折角治ったのにまた怪我をしてしまいましたね」


「怪我させたの間違いでしょ~」




陽の言葉に、白兎がクスッと笑ったのが聞こえた。




手首が曲がってはいけない方向に鈍い音と共に曲がった。
痛む手首を押さえながらソファーに倒れる。




いとも簡単に彼はテーブルに強打して私の手首を折った。
ふと見上げれば、足掻きもがく私を奴は冷静な鋭い目つきで見下ろしている。




こういう奴等だったことを忘れかけていた。
刃向かう人がいれば、殺すことも厭わない集団の中にいたんだ私は。




例えそれが若頭の妻となる人だとしても。




手首の痛みに耐えていると、体が急に持ち上がる感覚が襲ってきた。




気付けば奴が私を抱き上げ、どこかに連れていこうとしていた。




「……下ろせ…っ!離し、て……う゛!」




声を出す度に、体が揺れる度に手首が痛む。




そんな私にお構いなしに奴は私を寝室へと連れていく。




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