あなたのために。-光と影-
そのまま私の体は広いベッドの中央に沈む。
「…お前は誰に生かされているのか、誰に救われて今生きてるのか頭冷やして考えろ」
後を追えばこの手で奴を殺せるのに。
手首が痛くて、それだけじゃない体も心も痛くて動けない。
ガチャ
ドアの鍵が閉められる音がした。
分かってる。
そんなこと言われなくたって。
私が奴によって生かされていて、奴に救われたから今こうして生きてることだって分かってる。
それでも守りたかった。
大切な人を、大切な居場所を。
「……うっ、……ふ、……」
どうして私はこんなにも弱いの?
守りたいものも守れないなんて…
この小さな感覚のなくなった手。
こんなんじゃ、何も守れない。
悔しくて何も出来ない自分に腹が立って、涙が止まらない。
痛む手首よりも、何も出来ない自分が悔しくて苦しくて。
日向、ごめんね。
私、奴に見えない鎖で縛られてあなたをも守ることすら出来ない。
唯一動かせる左手で奴の匂いが広がるシーツを力強く握りしめて、声を漏らさないように唇を噛んでただただ泣いた。