あなたのために。-光と影-
あれからどれくらい時間が経っただろう。
他の組員さん達も一緒になって呑んで、VIPルームはかなり盛り上がっている。
特に陽くんは酒をかなり呑んで、酔っているのか私にたくさん話しかけてくる。
白兎さんは酒が呑めないというので、烏龍茶を飲んでいる。
酒が呑めない極道の人に初めて会った気がする。
肝心の奴はというと、嫌いな女に酒を注がれ、煙草を口に加えれば自分が火を点ける前に真姫と梓が火を点ける。
それにかなり嫌そうな顔をしている。
1人2人分離れたとこにいる私でさえ気付くのに、真姫と梓は奴に媚を売っている。
いいご身分な人達。
店も開店してかなり忙しくなってるようだ。
VIPが来る日はだいたい貸切になるけど、今日は普通にやっている。
これも一つのチャンス。
混んできてフロアスタッフが酒を運ぶのに人出が足りなくなる。
それを見越して私の計画は始まる。
「あっれー?酒まだ来ねーの?」
陽くんは空になった瓶を逆さまにして待ち侘びている。
白兎さんは「店はこのVIPだけ相手にしてるわけにはいかないんだよ」と陽くんを説得してる。
するといいタイミングでやって来るのは…
「すみません、お待たせしました」
環だ。