あなたのために。-光と影-
「…どうした。また嫌な夢でも見たか」
隣を見ようと横を向いたら、そこには心配そうに私を見つめる奴がいた。
汗をかいてる。
そう言いながら私の額の汗を拭う。
なんで…
未遂だったとはいえ、私はあなたを殺そうとしたんだよ?
なのになんでいつものように隣で寝てるわけ?
奴の神経の図太さが信じられなかった。
もう一つ信じられなかったのは、奴から暖かいものを感じたこと。
奴から暖かいものを感じるなんて信じたくないけど、それを感じたから私は自分の過去を話したり、奴の傍にいることを選んだのかもしれない。
だから……
「…両親が自殺して、死んでる姿が出てくる夢を見たの。
あんな二人の姿、忘れたつもりだったけど今でもはっきり覚えてる。
あの夢を見たのはあなたを殺そうとした罰かもしれないわね」
だからあなたには何でも話してしまうのかもしれない。
こうやってあなたに「大丈夫だ」と言われて抱き締められて、慰めてほしかったのかもしれない。
『やめて。そんな優しさ、強い私には必要ない。』
私の思いを塞き止めていたこんな気持ちが奴の暖かさによって、崩れて素直な気持ちが流れ込んでくる。
「ごめん…なさい…っ……
あなたは悪くないのに……私の勝手な八つ当たりだった…
ごめんなさい……ごめんなさい…っ
どんだけ骨を折られてもいい。私を殺さ、ないで……」
まだ死ねない。
守る者が居場所があるから。
まだ私は空っぽにはなってないから…だから殺さないで。