あなたのために。-光と影-
「白兎は私を止めてくれたんです。
だから白兎は悪くないんです。
…楓、白兎の縄といてあげて。
陽、いたら白兎に食べるものを持ってこさせて」
「……チッ」
「小夜ちゃんの頼みなら仕方ないね!おーい風間ー」
「…………」
楓は舌打ちしながらも雑に白兎の拘束を解いてる。
陽は食事を持ってこさせるのに重鎮の風間さんを呼ぶという大胆ぶり。
それを見ていた華代さんは手を止めて目を丸くしていた。
「…こりゃ、驚いた。
まさか楓と陽が簡単にいうこと聞くなんて」
そんなに驚くことなのだろうか。
でも確かに楓は女の頼みなんか聞きそうにないけど。
「おい、もう終わったか」
「え?あ、うん。終わったけど」
「…じゃ、どけ」
白兎の拘束を解いた楓が私と華代さんがいるソファーにやって来て、華代さんを退かせる。
そして華代さんが座っていたところに楓が座ると、そのまま私の大腿を枕にして横になった。
さらには空いてる私の左手を握って。