あなたのために。-光と影-
環はシャンパンなど酒を多数持ってきた。
陽くんは待ってました!と言ってシャンパンを瓶ごと呑んでいる。
「すみません、店の方が混んでしまって遅くなりました。あなた達、悪いけど代わりに交代でお酒運んでくれる?」
環は真姫と梓の方を見た。
真姫と梓は目を鋭くして立ち上がった。
「ちょっと!私達にフロアスタッフの仕事をやらせるの!?信じられない!」
「そうよ!何で私達が雑用をやらなきゃいけないわけ?」
最初に喋ったのが真姫、次が梓。
二人とも環の言葉に苛立ちを隠せないようだ。
だが、環はそんなのには怯まない。
「だけど、このまま酒が遅くなるとお客様に迷惑でしょ?あたし達はこっちとあっちで行き来しなくちゃいけないの。それに今日はスタッフが少ないのよ」
環の正論に言葉を詰まらせる真姫と梓。
言葉を詰まらせてはいても、目が鋭いのに変わりはない。
「…だからって私達に…「それじゃあ私が作ります」」
真姫が言いかけた時、私はゆっくりと立ち上がる。
真姫と梓は驚いて一斉に私を見た。
「お客様を待たせるわけにはいかないでしょ?本格的なのは作れないけど、カクテルなら作れるわ」
自分の胸に手を当てる。
奴はジッと私を見ているのが分かった。
これに興味を持ったのは陽くんだった。
「え、黒百合ちゃんが酒作ってくれるの!?やったー!!黒百合ちゃんの酒呑んでみてー」